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言葉で人の心を動かす

顔も知らぬあなたに逢いたい~第1歩~

小説

 「始めまして!僕はアキラといいます!あなたのブログで紹介されているマグカップ、とてもかわいいですね!」

 

 それが、私のブログに書かれた最初のコメントだった。

 

 私には女友達がいない。もちろん、男友達もいない。人との出会いは憧れるが、残業後に出会いを求める気力も体力も残されていない。20代の頃は体力に限界がなかった。平日深夜までバカ騒ぎして飲んでも、次の日、何事もなかったように出社できた。そんな私もいつの間にか30歳の壁を越えていた。Facebookで同級生を探すとみんな結婚していた。飯テロならぬ結婚テロ。本人たちにとっては幸せなことなんだろうけど、私にとっては憂鬱にしかならない。妬(ねた)みなんだろう。見なければいいことなんだろうけど見てしまう。なんで、自分だけ取り残されたのだろうか?私が何か悪いことをしたのだろうか?それとも何もしなかった私が悪いのか?

 

 私はOLになって、先輩にいじめられながらも、一所懸命仕事を覚え、そこそこのポジションについた。それなのに、会社でモテるのは、仕事のできない八方美人のあざといブリっ子。騙される男もどうかと思うがブリっ子は寿退社していく。ハイハイ、おめでとう!あんたの男に媚びうる気持ち悪い声を聞かないでいいと思うとうれしいよ。全力で見送ってやるよ!

 

 ウザいブリっ子が消えるたびに、新しい人が入れ替わりで入ってきて、また私が新人担当になる。新入りがミスしてかなり落ち込んでいたので先に帰して、私は彼女のミスを修正するため夜11時まで残業した。次の日、私はその女の子を慰めようと更衣室で話しかけたが、彼女は彼氏に慰めてもらって元気になったと笑顔で返してくる。なんだろう?この自然に握られる拳は?私は彼女のミスをフォローしている間、彼女は彼氏とイチャついていたのだ。

 

 なんか理不尽じゃないか?彼女のミスは私の指導ミスが原因ではある。でも、納得がいかない。私には彼氏を作る時間がない。時間は作るものだとか抜かす奴がいるが、物理的な作業の多い私を目の前にして同じことが言えるのか?顔面に右ストレートいれるぞ?そもそも残業で疲れくたびれきった30代女の私に需要はあるのだろうか?どうせ男は若い女を好むんだろ?そんなことは誰よりも分かっている。だから、私は毎日、家でドラマを見て、ネット通販で買い物をしてストレスを発散している。私は男に依存しない自立した女だ。金だけはある。

 

 ある日、ちょっと高い家電が気になってネットで口コミを検索していたら、個人のレビュー記事を見つけた。私はその時、初めて知ったのだが、それはブログというものだった。その人は他にもブログをやっていて、別のブログではコメントが多くついていて、ちょっとした人気者に見えた。コメントのやり取りをいくつか読んでみたが、そのブログを書いているブロガーさんは、色んな人から好かれているようだ。当たり障りのないコメントもあったが、その中には愛をささやくコメントもある。その告白のようなコメントを読んで私はとてもうらやましくなった。私は生まれてこの方、そのような情熱的な告白を受けたことがない。ましてや、異性から社交辞令であったとしても、「好きだ。」とか「愛している。」とか言われたことがない。

 

 ブログをやれば、私もネット上だけでもモテるのだろうか?現実ではモテなくても、ブログならモテるのかもしれない。そう思ってブログを始めてみた。しかし、3ヶ月経っても、私のブログには全くというほど人が来なかった。

 

 そんな私のブログに初めてコメントがついたのだ。私は飛び上がるほど嬉しくなり、狭い部屋で身悶えした。

 

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