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ロゴスエモ

言葉で人の心を動かす

2015年流行語でデートをしてみた(流行語25個使用)。

小説

俺の名は芦屋健司(あしやけんじ)。

 

今日は彼女との初めてのデートだ。待ち合わせの時間より30分早く付くつもりで家を出たのだが、緊張して1時間前についてしまった。しかし、そこには、もうすでに彼女が待っていた。彼女の名は中島日菜子(なかじまひなこ)。10歳年上の彼女だ。今日は、ミニスカにオーバーニーだ。40代で絶対領域に挑戦するとは、なんというチャレンジ精神だろうか。もちろん俺が事前に要望しておいた服装なんだが。彼女の年齢から言えばちょっときついのかもしれないが、彼女は俺の頼みを断らない。前も俺のお願いで好き避けしながらも、黒ストッキングを履いてくれたぐらいだ。

 

俺は彼女の真後ろへ気付かれないように静かに回り込み、五郎丸ポーズを構える。何事もファーストインプレッションが大事だ。この一発で今日のデートの成功がかかっている。俺は全神経を研ぎ澄まして、彼女のお尻へ、菊の花目掛けて指を突き出す。直撃で火花が飛んだ瞬間、「ドラゲナイ!」と彼女は絶叫した。俺は指に感じた違和感について考えながら彼女の出方を伺う。

 

「私はテロに屈しない!」彼女はそういうと、俺を睨みつける。意外な返答に俺は切れ目のない対応がとれなかった。彼女のまいにち、修造!ばりの熱血っぷりに遅れをとったのだ。

 

「ところで、あなたはどこの誰かな?」
彼女はとてもお怒りのようである。


「ごめん。ふざけ過ぎました。」
俺は粛々と謝罪の儀に入る。


「そんなことは聞いていない。あなたが、誰か、聞いているの。ああ、思い出した。阿部定(あべさだ)さんだ。」
「アベサダさん?誰それ?」
「知らないの?男性の局部を切り落とした有名な女性の名前よ。そうね、この場合、私が阿部定を名乗るべきかしら?まあ、いいわ。私は中島だから、あなたが阿部さんで。」
やばい、切られる。まだ、トリプルスリーを決めていないのに、その前に切り取られてしまう。俺の息子が存立危機事態だ!


I am not ABE.」
「No. You are ABE. You are Abe Sada ! 」
「No. I AM KENJI ! Ashiya Kenji !」
なんだか変な漫才みたいなルーティンに入りそうだったので、サードウェーブコーヒーで有名な喫茶店へ彼女を誘導した。というか、強引に腕を引っ張って店に入った。

 

席につくと彼女は急にしおらしくなっていた。

「どうしたんですか?なんだか変ですよ?」
「だって、芦屋さん。急に腕を引っ張るんだもん。強引ね。嫌いじゃないわよ。そういうの…。」
いやいや、そういうのじゃないから。相変わらず、彼女は病んでる。


コーヒーを頼んだ後、俺はさっきから気になっていた違和感について確認してみた。
「さっきはごめん。変なことして。それで、言いにくいんだけど、さっき、カンチョウした時、指に布の感触がなかったんだけど、どういうこと?一瞬だったけど肌に直接触れた気がしたんだけど…。」
「うふふっ。下覗いて見て。」
不敵な笑みを浮かべる彼女の言う通りにテーブルの下を覗き込んでみる。
そこには、テーブルの脚で見えにくいが彼女のオーバーニーが見える。
次の瞬間、彼女は足を開きスカートめくり上げる。
安心して下さい、穿いてますよ。
まくり上げられたスカートの先には黒いジャングルに囲まれたスーパームーンしか見えなかった。
「おっ!」と声を上げ驚いた俺はテーブルの角に頭をぶつけてしまう。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないですよ。どういうことですか?穿いていないじゃないですか!」
「好きでしょ?こういうの。」
いやまあ、正直好きだよ。でも、最初のデートでそれはないでしょ。俺に変なレッテル貼りはやめてよ。いきなりカンチョウする男だけど、そこまでのプレイは求めていないから。


「正直、好きです。でも、最初のデートなんですから、普通にしてください。」
「いきなりあんなことをしてそれ言うの?」
はい、論破!俺にはこれ以上何も言えません。結局、似た者同士、変態同志ということか。うれしいような、悲しいような。彼女を選んだ自分が情けない。


「なんだか元気ないよ?福山ロス?それとも今さら、あまロス?」
あまロス?それはいくらなんでもないだろ?男の俺に福山ロスもないだろ。いや、あれで結婚を焦ったところはある。だからこそ、このデートがあるのだ。


「いえ、大丈夫です。俺から提案があります。今日は普通のデートをしましょう。」
彼女は満面の笑みを浮かべで即答する。
「嫌です。普通じゃないデートをします。とりま、廃案です!。」
彼女にはインバウンドの精神はないらしい。


「今日は芦屋さんの全てを教えてもらいます。」
「今日一日でですか?」
「はい。今日一日で。」
「ここで話を続けるということですか?」
「いいえ、芦屋さんのことは大体知っています。まずは、これから芦屋さんがよく買い物をするお店に私を連れて行ってください。爆買いします!」
「爆買い?行くだけでなく買うんですか?情けない話、あんまりお金ないんですけど。」
「知っています。私はあなたの彼女ですよ。ただの彼女ではありません。プロ彼女ですから!結果にコミットする女ですから!」
自分で自分のことをプロ彼女って言っちゃうんだ…。さすが病んでる。それとも意味を間違って使っているのか?最後の結果にコミットする女ってどういう意味だ?怖い。


悩んでいる俺を無視して彼女はおもむろに立ち上がる。
「さあ、行きましょう。時代が私たちを待ってくれたとしても、私は芦屋さんを待ちませんよ?」
そう言って彼女が差し伸べた手を俺はしっかり握る。俺は店を出ても彼女の手を離さなかった。だって、彼女の手はあったかいんだからぁ。

 

(2015年流行語大賞候補の言葉をできる限り使ってみました。50個のうち25個使いました。無理やり使用したため意味が違うものがあります。その辺は見逃してね!)