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ロゴスエモ

言葉で人の心を動かす

『あの日見た尻文字の答えを僕はまだ知らない。』

消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み

今日は天気が良かったので、昼過ぎにフラフラと近所の大きな公園へ散歩に行くことにした。俺は孤独を愛する男なんでもちろん一人で行った。何事にも縛られない風だから…。

 

公園に着くと連休最終日を満喫する家族とカップルばかりで埋め尽くされていた。とてもほほえましい光景を目の当たりにして、俺は思う。

 

「なんで、俺は一人で来ちまったんだー!」

 

まあね、分かっていたよ。一人で公園に来る奴なんて俺ぐらいなもんだよ。結構、心にダメージが来るね。

 

孫と遊ぶじいちゃんの顔、5ダメージ!

子供と遊ぶお父さんの顔、10ダメージ!!

中学生ぐらいの男の子が同級生の女の子とベンチで黙って手を握って座っている姿、80ダメージ!!!

 

俺のヒットポイントは100なんで、残り5しかない!

このままでは死んでしまう!

 

結局、公園の外周を半分もまわらずに撤退しましたよ。そのまま、道なりに住宅街をウロウロしたよ。

 

住宅街を歩きながら、さっきの中学生のことを考えていたんだ。俺にもあんな青春が欲しかったなぁと。俺の中学時代はイマイチ冴えないものだった。と思っていたんだけど、どうにも気になることを思い出した。

 

俺が中学一年生になった時、小学生の時の親友は学区のせいで、みんな隣の中学校に行ってしまった。俺だけが別の中学だった。知らない人ばかりで友達なんてできないと思っていた。なぜなら、人見知りの激しい俺は自分から声をかけられない子だったんだから。たまたま、前の席と隣の席を合わせて4人で一つの班となった人たちが気さくな人であっさりと友達になれた。

 

隣の席に座る、とにかく明るい女の子アキコちゃん。

前の席に座る、馬鹿だけど性格が良くて明るい男の子ムサシくん。

斜め前の席に座る、女の子ヒナヒナ。

 

このヒナヒナがちょっと変わっている。まず、クラスのみんなに自己紹介をする時に、「名前がヒナコだから「ヒナヒナ」と呼んでね!」と言った女の子だ。俺が名字で呼ぶと、「違う、ヒナヒナでしょ(笑)!ニーヤ!」といつも返してきた子だ。

 

ちなみに、「ニーヤ」は彼女が俺につけたあだ名だ。俺の名字が言いづらいからということで、俺の本名を別の読み方にして、つけてくれた名だ。後でわかったんだが、このニックネームは英語のnear(近く)とかけ合わせてあったらしい。だが、中学に入ったばかりの俺は英語なんて全く分からないのでそんな意味には気付かなかった。気付いたのは二年生になって、ヒナヒナと別のクラスになってからだった。

 

アキコちゃんはヒナヒナと同じ小学校出身で親友だった。ヒナヒナとアキコちゃんは変わっていた。班で初めて自己紹介する時にそれに気づいた。

 

ヒナヒナ「ヒナヒナです!よろしく!よくみんなから『かわいい』と言われます!」

アキコちゃん「ヒナヒナはかわいいけど、性格悪いからね!私はヒナヒナと違って性格いいから!」

ヒナヒナ「アキちゃん。何言ってんの?そんなことないよ。ヒナヒナはかわいくて性格がいいんだよ!」

 

この会話、約20年前の中学一年生が言ったんだよ。今考えれば相当すごいよ。女の子は精神的に成長が早いというけど、中一でぶりっ子だからね。女の子は怖いよ。でもね、本当に怖いのは、このヒナヒナ、本当にかわいかったの。学校一の美人だったんだよね。他のクラスの男の子が告白しにくるという漫画みたいなやり取りを何度見たことか!あまりに人気なんで、俺も彼女と距離を置くようになったんだよ。なんかそばにいるだけで申し訳ない気がして…。

 

それなのに、ヒナヒナは席替えして離れても、クラスが変わっても俺に声をかけてくれるんだ。でも、俺はそのたびに恐縮して固まって、まともに話せなかった。本当にかわいかったから。あれから20年以上経つが芸能人を含めても俺の人生でトップのかわいさだった。ただ、今の彼女は知らないけどね。

 

当時の俺は気付かなかったんだけど、ヒナヒナがニックネームで呼んでいたのは、学校で俺だけだったんだよね。俺の本名はそんなに呼びにくい名前じゃないんだよ。それに、クラスが変わっても、昼休みになったら他の女の子を連れて俺のところにやってくるんだ。

 

俺は給食の後、すぐ運動すると横っ腹が痛くなるんで、他の男子と違って昼休みに遊ばずに自分の席にいたんだ。その俺を狙って彼女はいつも来ていた。その頃、尻文字が流行っていたんだけど、ヒナヒナは昼休みになると俺のところに来て、尻文字で何を書いているのかクイズを毎日のように出してきた。当時の俺はシャイボーイだったので、直視できず、尻文字正答率は低かった。直視したらしたで、お尻ばかり気になって、正解はできなかったかもしれない。俺は彼女の尻を忘れない!アニメのタイトル風に言うと『あの日見た尻文字の答えを僕はまだ知らない。』かな?

 

 結局、卒業しても俺とヒナヒナには何も起きなかった。学校のマドンナを狙うなんて大それたことをする勇気は当時の俺にはなかった。実は、初恋だったんだよね。

 

今思えば、俺が好きになる人は変な人ばかりだ。そういう俺も変人だけどね。